2024.08.27
雨漏りについて~住宅診断~
ホームインスペクションと雨漏り調査について
こんにちは!近年、大型の台風やゲリラ豪雨が多くなったように感じます。今回は、ホームインスペクションと雨漏り調査についてお話しします。
住宅診断の目的は様々で、建物の劣化状況をチェックしたり、不具合を見つけたり、施工不良がないか確認したりします。また、リフォーム前の調査も重要な役割です。その中でも、目視を中心に住宅の状態を調査し、依頼主に報告する業務が「ホームインスペクション」と呼ばれます。
調査は比較的短時間(3時間~3時間半ほど)で行われ、建物の「健康診断」に近いレベルですが、それでも重大な問題が見つかることがあります。その代表例が「雨漏り」です。
ホームインスペクションで発見される雨漏り事例
雨漏りは、築年数が浅い建物でも発生する可能性があり、新築住宅でも施工不良が原因で起こることがあります。しかし、やはり築年数が経過するにつれてリスクは高まります。中古住宅ではメンテナンス不足や定期点検の欠如が多い原因ですが、立地条件や気候、特に強風や台風、大雪などが影響する場合もあります。
最近では、人気のデザインである軒が短い家や、庇(ひさし)がない家なども、雨漏りのリスクが高くなりがちです。これらの家では、外壁に雨が直接当たりやすいため、サッシ周りや外壁からの雨水侵入が起こりやすくなります。実は、雨漏りの多くは屋根からではなく、外壁やサッシ、バルコニー周りといった場所から発生することが多いのです。屋根からの雨漏りは原因究明が比較的容易ですが、外壁やバルコニーからの雨漏りは、原因を特定するのに時間がかかることが多いです。
ホームインスペクションでは、屋根裏や軒裏、天井や壁に水染みがないか目視で確認し、時には雨漏りの兆候を発見することがあります。ただし、調査時間に限りがあり、非破壊調査で行われるため、雨漏りの原因や侵入経路、具体的な修繕方法を明確にするのは難しいこともあります。
雨漏り調査の方法について
ホームインスペクションが「一次診断」として雨漏りの可能性を目視で確認するのに対し、雨漏りの原因を突き止めるための「二次診断」では、次のような方法が用いられます。
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散水調査
疑わしい箇所にホースで水をかけ、実際に雨漏りを再現する方法です。費用はおおよそ3~5万円程度ですが、長時間散水することもあり、その日の風向きや水圧、近隣へのトラブル回避のためにシート等費用が多くかかる場合もあり、よって結果が変わることもあります。場合によっては足場や高所作業車が必要になり、調査が大掛かりになることもあります。 -
赤外線サーモグラフィ調査
赤外線カメラで雨漏りが疑われる部分を撮影し、表面温度の差を利用して雨水の侵入箇所を推測します。温度差によって青く映る箇所が、水が通った可能性が高い場所と推測されます。ただし、これはあくまで仮説に基づくため、確実に原因を突き止めるためには他の調査と併用することが推奨されます。費用は10~20万円程度です。 -
発光液による調査
雨水の侵入口と思われる箇所に蛍光塗料を混ぜた試験水を流し込み、ライトを当てることで侵入経路を特定する方法です。暗い天井裏や壁の内部でも、発光液が光ることで雨漏りの経路が分かりやすくなります。この方法は、木造住宅よりも鉄筋コンクリート造の住宅で採用されることが多く、費用は5~20万円程度です。
また、ドローンを使用して高所部分を写真撮影する方法もあります。
調査方法は建物の構造や状況によって向き不向きがあるため、一概にどれが最適とは言えませんが、信頼できる業者選びがとても大切です。中には、ホームインスペクターの中にも雨漏り調査に詳しい方がいますので、まずは「一次診断」を担当した方に相談するのが良いでしょう。
NPO法人日本ホームインスペクターズ協会より各地域のインスペクターが紹介されています。
信頼のおけるインスペクターに巡り会えるツールとしてご利用ください。
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